「かゆみ」の原因は?具体的な症状や考えられる疾患とは

「かゆみ」の原因は?具体的な症状や考えられる疾患とは
 

皮膚のかゆみは、身体が何らかの異常を知らせるSOSです。かゆみが生じるメカニズムとしては、皮膚の表面や真皮にある神経が刺激を受けて、脳に「かゆい」という信号を送ることで発生します。

皮膚のかゆみは、身体が何らかの異常を知らせるSOSです。かゆみが生じるメカニズムとしては、皮膚の表面や真皮にある神経が刺激を受けて、脳に「かゆい」という信号を送ることで発生します。

今回は、身体にかゆみが起きる原因や症状、かゆみを伴う代表的な皮膚疾患、対処法を解説します。

Causes of itching
かゆみの原因

かゆみは人間の身体に備わった防衛反応の一つで、重要な皮膚の感覚です。

かゆみを伝える神経は皮膚の表皮と真皮の境目まで伸びており、皮膚への外的刺激に反応して脳に伝えています。

一方で、身体の中で起こった異常がかゆみ症状として皮膚に現れるケースもあります。身体の中のアレルギー反応によって、かゆみの神経伝達物質であるヒスタミンが放出された場合や、何らかの内臓疾患が存在している場合にも、かゆみとして脳に伝わります。

日常的によく見られるかゆみの原因には、以下の4つが挙げられます。

  • 乾燥によるもの
  • 炎症によるもの
  • アレルギーによるもの
  • 真菌(カビ)によるもの

以下の項目で、それぞれの原因による症状も含めて詳しく解説していきます。

乾燥によるかゆみとその症状

肌の表面は角質層と呼ばれる細胞の層で覆われており、その上を皮脂がコーティングしています。この角質層と皮脂の層が、肌の潤いを保ち、細菌やアレルゲンなどの異物が体内に侵入するのを防ぐバリア機能を担っているのです。

ところが、年齢を重ねたり適切なスキンケアを怠ったりすることで、このバリア機能が損なわれてしまうことがあります。バリア機能が低下すると、肌の水分が奪われ、乾燥が進行します。乾燥した肌は外からの刺激に弱くなるため、ちょっとした刺激でもかゆみを感じやすくなってしまうのです。

炎症によるかゆみとその症状

皮膚の病気、薬品・化粧品のかぶれ、虫刺されなどへの皮膚の防御反応として、肌に炎症が起きます。皮膚に炎症が起こると、強いかゆみ症状とともに、皮膚が赤くなったり、腫れたりします。湿疹やじくじくした皮疹を形成することもあります。

アレルギーによるかゆみとその症状

アレルギー反応は、免疫システムが特定の物質に過剰に反応することで起こります。アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)には以下のようなものがあります。

  • 花粉、ダニ、カビ、ペットの毛
  • 特定の食品(卵、乳製品、ナッツなど)
  • 医薬品(抗生物質、鎮痛剤など)

アレルゲンに対するアレルギー反応が起きると、かゆみとともに赤みや腫れなどを伴います。アレルゲンは人によってさまざまです。蕁麻疹のかゆみの症状は、上記のアレルギー反応によるものが多いです。

真菌によるかゆみとその症状

皮膚の一部に真菌(カビの一種)が繁殖することでかゆみが起こります。

いわゆる水虫もその一種で、足白癬と呼ばれ、皮膚糸状菌という真菌が繁殖しかゆみが発生するのです。他にも、脂漏性皮膚炎の原因とされているマラセチア菌やカンジダなど、真菌類(カビ)の一種に感染することにより、皮膚にかゆみが生じます。患部には境界が明瞭な赤い斑やぐじぐじしたびらん、皮膚の乾燥、鱗屑(りんせつ)、小さな黄色いブツブツ(小膿疱)などがみられます。

How to prevent itching
かゆみの予防法

かゆみの予防法は、かゆみの原因によって異なります。

上記で解説した乾燥、炎症、真菌に分けて解説しますので、参考にしてください。

乾燥によるかゆみの予防法

乾燥肌が原因でかゆみがある場合、皮膚本来のバリア機能を高めることが大切です。規則正しい生活と正しいスキンケアを行い、皮膚のバリア機能を高めましょう。

基本となるのは充分な睡眠とバランスのよい食事です。食事面では皮膚の細胞の修復に欠かせない栄養素であるタンパク質、ビタミン・ミネラル類を意識して、1日3回、時間を決めて食べましょう。

スキンケアに関しても、洗いすぎ、こすりすぎに注意し、入浴・洗顔後には保湿ケアを習慣づけましょう。保湿剤を塗ることで、皮膚を乾燥や刺激から守ることに加え、皮膚のバリア機能の強化につながります。

炎症によるかゆみの予防法

かゆみの原因がかぶれや虫刺されなど、皮膚トラブルに伴う炎症であることが明らかな場合は、原因を取り除きましょう。かぶれの原因になる物質に触れないようにする、虫よけを塗って虫に刺されないように予防するなど工夫してください。

特に、敏感肌の方は日頃から肌への刺激を避けることが大切です。また、炎症を起こしやすい部位を清潔に保ち、細菌の繁殖を防ぐことも重要です。

真菌によるかゆみの予防法

真菌によるかゆみを予防するには、皮膚を清潔に保ち、真菌に感染しないようにすることが大切です。清潔な下着や衣服を着用し、汗をかいたらこまめに着替えます。抗真菌作用のあるボディソープを使うのも効果的です。

特に水虫を予防するためには、不特定多数の人が裸足で過ごす場所でのバスマットやスリッパの共有を避けるなど、感染を予防しましょう。万が一真菌が皮膚に付着しても、その日のうちに石鹸で洗えば感染することはないため、神経質になる必要はないですが、足に傷がある場合などは特に注意しましょう。

常在菌であるカンジダやマラセチア菌に関しては、免疫力を低下させないことが大切です。規則正しい生活、十分な睡眠時間、ストレスをためこまないことを心がけましょう。

Itchy skin disease
かゆみを伴う皮膚疾患

かゆみの多くは、皮膚で起こったトラブルに反応して起こります。まずはかゆみの原因になりやすい皮膚トラブルを紹介します。

  • 乾燥肌・乾皮症(かんぴしょう)

皮膚が乾燥して皮膚のバリア機能が低下することによって、少しの刺激でもかゆみを感じる状態のこと。かゆみに負けてかいてしまうと、皮膚のバリア機能が破壊されてさらに乾燥が進む。

  • 接触皮膚炎(せっしょくせいひふえん)

化学物質などの刺激によって皮膚に炎症が生じた状態のこと。特定の物質に皮膚が触れることで炎症による赤みやブツブツ、水ぶくれができ、強いかゆみ、痛みを感じる。化学物質による刺激が原因で起きる「刺激性接触皮膚炎」、アレルギー反応によって起きる「アレルギー性接触皮膚炎」、紫外線が関わる「光接触皮膚炎」に分けられる。原因物質に触れたところにだけに症状が出る。

  • アトピー性皮膚炎

強いかゆみを伴うジュクジュクした湿疹が現れ、良くなったり悪くなったりを繰り返す皮膚の病気のこと。顔、耳、首、わきの下、ひじ、ひざなどの部位に左右対称に出やすいのが特徴。遺伝的な要因と環境因子が複雑に絡み合って発症する。

  • 蕁麻疹(じんましん)

皮膚の一部にぶつぶつとした赤い発疹が現れ、強いかゆみを伴う。数時間で消える。アレルギーなどが原因の場合もあるが、基本的には原因は不明。

  • 汗疹(あせも)

大量に汗をかくことによって汗の出口「汗管(かんかん)」に汗がたまり、皮膚表面に透明のプツプツや赤み、かゆみが出る皮膚トラブルのこと。特に高温多湿の季節に多くの汗をかいたあとなど、急に症状が出るのが特徴。

  • 手湿疹(てしっしん)

手に湿疹ができる皮膚炎で、かゆみのほか、ひび割れなどを伴う。「手荒れ」がさらに進行した状態で、炎症による皮膚の赤みやかゆみ、小さなブツブツなど、いくつかの症状が混ざり合って発症する。

  • 皮膚掻痒症(ひふそうようしょう)

ブツブツや赤みなどの目立った症状がないのに皮膚がかゆくなること。身体の一部がかゆくなるタイプと、全身がかゆくなるタイプの2種類がある。内臓の病気などを背景に発症することが多く、空気の乾燥や心理的ストレスの影響で症状が悪化することがある。

  • 虫刺され(虫刺症)

吸血性の蚊やブヨ、ダニ、ノミのほか、身体に毒を持ったハチ、毛虫、ムカデ、クモなどに刺されて起きる皮膚炎のこと。虫の毒液や唾液成分といった異物が人間の皮膚の中に侵入することで炎症が起きる。

  • 痒疹(ようしん)

慢性的なかゆみによって、皮疹が生じる病気のこと。虫刺されやアトピー性皮膚炎、アレルギー疾患、などがきっかけになって発症した例もあるが、詳しい原因は不明。

  • 皮膚真菌症(ひふしんきんしょう)

真菌(カビ)に感染して起こる皮膚の病気のこと。水虫(足白癬)や、マラセチア菌が増殖することによって起きる脂漏性皮膚炎ではかゆみを伴う。

Even if it is caused by an internal organ disease
内臓の病気が原因の場合も

かゆみの原因は皮膚だけでなく、内臓の病気に由来する場合もあります。

皮膚に目立った異常はないにもかかわらず、かゆみ症状があるケースは内蔵の病気が関係していることがあります。よく下記の項目を確認し、必要であれば医療機関の受診も考えましょう。

肝臓や胆嚢の病気

肝硬変などの肝臓の病気があると、全身にかゆみ症状が現れることがあります。かゆみが起こる肝臓の病気は以下の通りです。

肝硬変

  • 肝臓の組織が硬くなり、機能が低下する病気

原発性胆汁性胆管炎(PBC)

  • 小葉間胆管が破壊され、胆汁がうっ滞する自己免疫性の肝臓病

これらの病気では、肝機能の低下により、かゆみの原因物質である胆汁酸などが血中に蓄積し、全身のかゆみを引き起こします。また、黄疸を伴うこともあります。肝臓や胆嚢の病気が原因のかゆみは症状が強く、不眠の原因にもなるほどです。

腎臓の病気

腎臓の病気が原因でかゆみが生じることもあります。腎不全や慢性腎臓病などの腎機能が低下した状態では、かゆみの原因物質である尿毒症物質が体内に蓄積します。この尿毒症物質によって全身のかゆみが引き起こされるのです。

How to deal with itching related to internal organ diseases
内臓の病気に関連したかゆみの対処法

上記のような内臓の病気が関連してかゆみが起きている場合、まずは原因となる病気を治療することが重要です。そのため、早めに医療機関を受診して医師に相談しましょう。

ただし、以下のような対症療法も一時的にかゆみを和らげる効果が見込めるため、有効です。

抗ヒスタミン薬の使用

  • かゆみの伝達物質であるヒスタミンの作用を抑える薬を服用する

ステロイド外用薬の塗布

  • 炎症を抑える作用のあるステロイド剤の塗布も有効な場合がある

冷却療法

  • かゆみのある部位を冷やすと症状が和らぐケースがある

ただし、あくまで対症療法であるため、根本的な原因となっている内臓疾患の治療が最も重要です。かゆみが慢性的に続く場合は、皮膚科だけでなく内科の受診も検討しましょう。

Summary
まとめ

かゆみの主な原因と症状、考えられる疾患について解説しました。かゆみの原因はさまざまです。主な原因は以下の通りです。

  • 乾燥
  • 炎症
  • アレルギー
  • 真菌感染

これらの原因に対しては、保湿や刺激の除去、抗ヒスタミン薬の使用などが有効です。また、内臓の病気が原因となることもあります。内臓疾患が原因の場合は、原疾患の治療が最も重要です。

かゆみに悩まれている方は、皮膚科や内科の専門医に相談することをおすすめします。適切な診断と治療方針の検討が必要不可欠です。


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