脂漏性皮膚炎とは

2023年3月29日

頭皮から白い粉状のフケのようなものがポロポロ落ちて、時にはしつこい痒みを伴うことはないでしょうか？ たいていは汗疹（あせも）や洗髪時のシャンプーやリンスの洗い残しによるかぶれのことがほとんどですが、いつまで経っても治らない、軽快してもすぐに再発を繰り返すといった症状で苦しんでいる方は「脂漏性皮膚炎」の可能性があります。

脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い部位に生じる慢性の炎症性皮膚疾患です。頭皮だけでなく鼻や頬、耳の中や後ろなど皮脂の分泌が活発な部位に出現することが多く、時には胸部や腋・背部中央にもできる人もいます。単なる乾燥肌とは異なる皮膚疾患であり、適切な治療が必要です。

赤ちゃんから大人まで起こる病気で、生後数ヶ月頃に皮脂が過剰分泌されることによる脂漏性皮膚炎は、乳児脂漏性皮膚炎と呼ばれています。

脂漏性皮膚炎は乳児期（生後2週～12週）と思春期以降の成人男性に多く見られ、40歳前後に発症のピークがあります。乳児では頭部や顔に、成人では頭皮、顔、胸部などに皮疹が生じやすいです。そのため、乳児型と成人型に大きく分けられます。乳児型は自然軽快しやすいですが、成人型は発症すると慢性化または再発しやすい傾向にあります。

脂漏性皮膚炎の原因は、複数の要因が関与していると考えられていますが、明確には解明されていません。

現在のところ、脂漏性皮膚炎の発症や悪化には、皮膚に常在しているマラセチア菌の増殖が主な原因と考えられています。

他にも、ストレスや疲労、睡眠不足などで免疫機能が低下すると、脂漏性皮膚炎が悪化しやすくなります。 皮脂汚れ（入浴不足、洗顔不足など）、生活リズムや食事の偏り（高脂肪食、ビタミンB群不足）なども脂漏性皮膚炎の発症や悪化に関与していると考えられています。

また、成人男性の場合は、皮脂の分泌を促進するアンドロゲンという男性ホルモンの影響が大きいとも言われています。

脂漏性皮膚炎の症状には、境界のはっきりしない赤み、黄色っぽい脂っぽい鱗屑や乾燥したうろこ状のフケのような皮膚の剥がれが見られます。痛みはなくかゆみがあり、2週間以上軽減しない場合は脂漏性皮膚炎の可能性が高いです。重症化すると、ジクジクした滲出液を伴い、かさぶたのようになります。

軽症の場合、乾燥肌やフケ症と思われがちですが、慢性化しやすいため、早期の適切な治療開始が重要です。

• 皮疹

  境界のはっきりしない赤みを帯びた皮疹
  黄色っぽい脂っぽい鱗屑（りんせつ）を伴う
  慢性的に経過し、再発を繰り返す

• かゆみ

  多くの場合、軽度から中等度のかゆみを伴う
  かゆみによる掻破（そうは）で症状が悪化することもある

脂漏性皮膚炎の治療法は、まずは外用剤（塗り薬）から使用開始することが多いです。 皮膚の炎症であるため、弱いステロイド外用剤から使用して、痒みが強い場合は強いステロイド外用剤に変更します。 マラセチア菌というカビ（真菌）が関与していることが多いため、最初から抗真菌外用剤も併用する場合があります。 症状がなかなか完治せずダラダラと続く場合が多いため、ステロイド外用剤を完全に休止することが難しく、できる限り弱いステロイド剤を使用しつつ、同時に抗真菌外用剤を時々使用しながら治療を継続することが多いです。 飲み薬（内服薬）としては、外用剤だけでは治らない強い痒みに対して抗ヒスタミン剤（抗アレルギー薬）を使用します。

また、皮脂の分泌を抑えるため、ビタミンB2やビタミンB6の飲み薬を使用することもあります。

脂漏性皮膚炎の悪化を予防するためには、生活習慣の見直しが重要です。

脂分の多い食事を控えめにし、ストレスや睡眠不足を避けましょう。

刺激の強いシャンプーや洗顔料により、悪化してしまうこともあります。合わない場合には、シャンプーを切り替えることも検討しましょう。 脂漏性皮膚炎の悪化を予防するためには、食事、ストレス管理、睡眠、洗顔方法など、日常生活の中で気を配ることが重要です。生活習慣を見直し、自分に合ったスキンケア方法を見つけることで、脂漏性皮膚炎の症状をコントロールしやすくなるでしょう。

脂漏性皮膚炎は主に皮脂の分泌が多い部位に発症しやすい皮膚疾患です。乳児型と成人型に分けられ、成人型では思春期以降の男性に多く見られます。

発症の原因としては、免疫機能の低下、皮膚常在菌のマラセチア菌の増殖、ストレスや睡眠不足などが挙げられます。

脂漏性皮膚炎の症状は、発赤、鱗屑、痒みが特徴的であり、治療はステロイド外用薬や抗真菌外用剤を時々使用しながら治療を継続します。

日頃から皮膚を清潔に保ち、ストレスをためないことが悪化予防につながります。症状に気づいたら早めに皮膚科を受診し、医師の指示に従って適切な治療を行うことが大切です。