ふけの原因や症状とは?

ふけの原因や症状とは?
 
ふけは、健康な人であれば誰にでも生じる生理的な現象です。しかし、量が多く悩んでいる、という方もいらっしゃるかと思います。 病気が原因でふけが生じることもあるため、ふけについて正しい知識をおさえておきましょう。今回は、ふけの一般的な原因や症状について紹介していきます。

What is dandruff?
ふけとは?

ふけは、古くなった頭皮の角質が剥がれ落ちたものを指します。 ふけの主な原因には、皮脂の過剰分泌や酸化、汗をかきやすい体質、洗髪不足や洗いすぎ、頭皮の乾燥、ホルモンバランスの乱れ、ストレスなどがあります。 また、ふけには主に乾性ふけと脂性ふけの2つのタイプがあります。乾性ふけは頭皮の乾燥や洗髪のしすぎが主な原因で、脂性ふけは皮脂の過剰分泌や洗髪不足が主な原因となります。 皮脂分泌量や頭皮の状態により、ふけの種類や症状は人それぞれ異なります。

ふけが発生するしくみ

健康な頭皮では、皮脂の分泌量と常在菌のバランスが保たれていますが、そのバランスが崩れるとふけが増加します。 ふけは頭皮から出る老廃物、つまり垢のようなものです。人間の皮膚は、約6週間のサイクルで生まれ変わるターンオーバー(肌の新陳代謝)という機能が備わっているのですが、それは頭皮も同じです。通常のターンオーバーで発生するふけは小さく、通常は洗髪で取り除かれるため、目立つことはありません。

Main causes of increased dandruff
ふけが増加する主な原因

ふけは、乾燥タイプと脂性タイプに分けられます。両タイプに共通して考えられる主な原因は、生活習慣が深く関係しています。食生活の乱れや不規則な生活、睡眠不足、ストレス、疲労などです。こうした生活習慣がホルモンバランスの乱れを招き、頭皮のターンオーバーを乱し、ふけの発生につながるのです。 その他のふけが発生してしまう原因を、ふけのタイプ別にみていきましょう。
ふけの種類 乾性ふけ 脂性ふけ
ふけの特徴 ・白く細かい ・カサカサと乾燥している ・パラパラと落ちる ・白~やや黄色がかった白 ・湿ってべとべとしている ・大きな塊となって落ちる ・頭皮や頭髪にはりつく
主な原因 ・頭皮の乾燥 (乾燥肌の人に多い) ・洗髪のしすぎ ・頭皮の皮脂の過剰な分泌 (マラセチア菌の過剰な増殖) ・洗髪が行き届いていない ・シャンプー剤などのすすぎ不足
発生しやすい季節 ・空気が乾燥する寒い時期に多くなる ・湿度の高い梅雨~夏に多くなる

乾性ふけの主な原因(カサカサタイプ)

乾性ふけの主な原因は、頭皮の乾燥です。潤いをなくし乾燥した頭皮は免疫力が低下し、ターンオーバーのリズムが乱れて未熟な角質細胞まで剥がれ落ちてしまうのです。 具体的には、以下のようなものが挙げられます。
  • 洗髪のしすぎ
  • 洗浄力の強いシャンプーの使用
  • 冬など乾燥する季節
  • 紫外線によるダメージ
  • 加齢による頭皮の潤い不足

脂性ふけの主な原因(べとべとタイプ)

脂性ふけは、皮脂の過剰分泌が主な原因です。特に注意したいのが、ふけの大量発生の原因であるマラセチア菌の増殖です。マラセチア菌は、皮脂を分解して遊離脂肪酸を増加させ、頭皮のターンオーバーを早めてふけの量を増やします。皮脂が過剰分泌することによって皮脂を栄養とするマラセチア菌が増殖し、悪循環を生み出してしまいます。 取り切れていない皮脂は酸化が進み、ほこりや汚れを吸着し、古い角質とまざりあってべとべとした脂性ふけとなります。 他にも、次のような原因が複合的に重なると、脂性ふけが増えると考えられています。
  • 洗髪時の汚れ残し
  • シャンプーやリンスなどのすすぎ残し
  • ワックスなどのヘア剤をつけたまま寝る
  • 汗をよくかく体質
  • 帽子やヘルメットなどで頭皮が蒸れる

Age and gender that are more likely to develop dandruff
ふけが発生しやすい年齢・性別

ふけのタイプや発生のしやすさは、年齢や性別によっても多少異なります。 性別でみると、男女ともに成長期である10〜14歳頃にかけて皮脂の分泌量が増え始めます。男性は60歳代頃まで皮脂の分泌量が多く、女性は30歳代までがピークで、この時期には脂性ふけが出やすいでしょう。 個人差はありますが、それ以降は皮脂量が減少していき、逆に肌が乾燥しがちに変わってくるため、乾性ふけが多くなる傾向にあります。このように、ふけのタイプは年齢や性別によって異なるため、それぞれに合ったケアが大切です。

Excessive dandruff can cause itching
ふけが多いとかゆみが発生することも

頭皮にふけが大量に溜まると、頭皮環境が悪化しトラブルを引き起こします。特に多くみられるのが、頭皮のかゆみです。 頭皮のかゆみの原因としては、ふけによる物理的な刺激が挙げられます。また、菌の繁殖やふけの酸化による頭皮の炎症もかゆみの原因の一つです。

What is the difference dermatitis?
ふけ症と脂漏性皮膚炎の違いは?

脂漏性皮膚炎の場合にも、ふけが多くみられます。 ここからは、脂漏性皮膚炎についてや、ふけ症と脂漏性皮膚炎の違いについて解説していきます。

脂漏性皮膚炎とは

脂漏性皮膚炎は、皮脂の分泌が多い部位に生じる慢性の炎症性皮膚疾患です。頭皮だけでなく鼻や頬、耳の中や後ろなど皮脂の分泌が活発な部位に出現することが多く、時には胸部や腋・背部中央にもできる人もいます。単なる乾燥肌とは異なる皮膚疾患であり、適切な治療が必要です。 赤ちゃんから大人まで起こる病気で、生後数ヶ月頃に皮脂が過剰分泌されることによる脂漏性皮膚炎は、乳児脂漏性皮膚炎と呼ばれています。 乳児型の脂漏性皮膚炎は自然に治っていきますが、成人型の場合は、症状が続いたり、再発を繰り返したりします。頭皮に生じた場合はふけが多く出て頭皮が赤くなり、強いかゆみが伴います。

ふけ症と脂漏性皮膚炎の違い

ふけが出るのは生理的な現象であり、ふけ症はふけが目立って多い状態を指します。しかし、脂漏性皮膚炎になると病的な段階へと見解が変わります。 脂漏性皮膚炎では、ふけは症状の一部であり、強いかゆみを伴います。生活習慣の見直しとともに必要に合わせてステロイド外用薬や抗真菌外用剤などの薬剤を用いた治療を行う場合もあります。症状がなかなか完治せずよくなったり悪くなったりと繰り返す場合が多いため、ステロイド外用剤を完全に休止することが難しいケースも多いです。 ふけ症も脂漏皮膚炎も大きな原因としてマラセチア菌との関連性が指摘されています。ふけがなかなかおさまらない場合や、強いかゆみがみられる場合は、脂漏性皮膚炎をはじめとする病気を発症している可能性があるため、早めに皮膚科を受診することをおすすめします。

脂漏性皮膚炎以外でふけがみられる主な病気

脂漏性皮膚炎以外にも、ふけが症状としてみられる病気がいくつかあります。病名と特徴を紹介します。 尋常性乾癬
  • 頭皮に厚い鱗屑(りんせつ)が付着
  • 肘や膝などの関節外側にも赤みを帯びた皮疹が生じる
  • 初期の段階では、脂漏性皮膚炎と区別するのは素人では困難
接触性皮膚炎
  • シャンプーや整髪料などが原因で頭皮に炎症が起きる
  • 頭皮の発赤やかゆみ、ふけなどの症状を引き起こす
白癬
  • 白癬菌が引き起こす感染症
  • 頭部白癬では頭皮に脱毛斑や鱗屑(ふけのようなもの)、発疹を生じる
アトピー性皮膚炎
  • 発症のメカニズムは十分には解明されていない
  • 患者には皮膚のバリア機能が正常に働かない、もともとの体質や遺伝、外部からの刺激(ダニやハウスダストのアレルギーがある、皮膚の常在菌、精神的ストレス)などがみられる
このように、ふけの原因となる病気は脂漏性皮膚炎以外にも存在します。ふけが長引く場合は皮膚科を受診し、適切な診断と治療を受けることをおすすめします。

Summary
まとめ

ふけの原因やしくみ、症状などについて解説しました。 ふけは皮脂の分泌過多やマラセチア菌の増殖、乾燥などが原因で発生し、脂っぽい脂性ふけとカサつく乾性ふけの2種類があります。皮膚の常在菌であるマラセチア菌の過剰増殖によってふけの増加、かゆみも症状として現れます。 ふけ症と脂漏性皮膚炎は似た症状ですが、脂漏性皮膚炎は医師による定期的な診察と処方(塗り薬など)が必要です。 ふけでお悩みの際は、ふけの原因を見極め、適切なケアを行うことが大切です。症状が続く場合は皮膚科の受診をおすすめします。

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